中小企業/小規模企業が大企業とスムーズに交渉するために ~価格交渉に使える指標 3選~ 

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この記事はこんな方におススメです

・大企業の調達担当者の立場について知りたい
・価格交渉に使える指標について知りたい

2023年1月現在、昨年から商品の価格上昇の波が広がっています。電気料金、食品などほぼすべての品目について価格があがっています。

一方、町工場の当社は30年以上価格が変わっていない品物があります。当社の価格改定の方法は社長が相手の担当者に電話で「次から〇〇円でお願いします。」理由も何も言わない。相手によっては怒って次から注文が来なくなることもありました。

本記事では、社員3000人の大企業で働いた経験がある筆者が、取引先の担当者が社内に説明しやすいように、価格を上げてもいいかなと思える根拠になりそうな資料を紹介します。これらを活用して、大手だけでなく、自社も利益をしっかり得られるような”適正価格”の獲得の参考になれば幸いです。

目次

大企業の調達担当者の立場について

まず、価格交渉をする相手(調達担当者)と自分(営業担当者)の状況について考えてみましょう。

調達担当者のミッション

1、安く調達する
2、納期通りに調達する
3、品質が高い

営業担当者のミッション

1、高く売る
2、納期はなるべく長く確保する
3、求められる水準の品質とする

特に価格面に関しては、双方で完全に真逆のベクトルとなっています。そのため、価格交渉は安く買いたい調達担当者と、高く売りたい営業担当者で、条件をすり合わせながら妥協点を見つけないといけないため、時間がかかったり、あまりやりたくないものとなります。

次に、大手企業の担当者と中小の営業担当での大きな違いを考えてみます。それは、①担当している企業の数と②扱っている金額の大きさについてです。

①担当している企業の数
 大手企業の担当者は数多くの企業を担当していることが多いです。そのため、1社に使える時間は限られており、基本的にはとても忙しいことが多いです。

②扱っている金額の大きさ
 中小企業にとっては大金であっても、大手からすると小さい額ということは多々あります。

 

この二つの特徴から、大手の調達担当者(特に仕事に熱心でない人)に対しては、担当者が社内で「こういう理由で値上げを言ってきてるので認めてほしい」と上申書を作成する際に、説明しやすい資料を準備して渡すことで、比較的スムーズに価格交渉を進めることができると思います。

もちろん、取引額の小さい中小企業が、単体で交渉すると不利なので、他社も値上げを交渉するであろうタイミング(例えば材料の価格高騰など)に交渉をすることで、より優位に交渉をすることができるでしょう。

価格交渉に使えそうな 指標 3選

まず、価格交渉するために、品物の価格の内訳を考える必要があります。それらの内訳と後に紹介する指標を組み合わせて、品物の価格交渉するという流れとなります。

工場の品物の価格は大まかに分けると以下のようになります。

 品物の価格 = 原材料費 + 労務費(直接/間接) + 間接費 + 利益

原材料費、労務費が過去に比べて〇〇%上がっているので、品物も同様に上げてほしいというのが理屈になります。そのため、以下の指標での価格や自身で調べた指標を活用する際は、基準の年を100として、現在の値を表現することで、〇〇%の値上げを求めやすくなります。

以下の3つの指標では、1992年の値を100とした場合のグラフを参考に載せています。

1、原材料価格(当社の場合は鉄の材料価格)

  代表的な材料の価格として、当社の場合は冷延鋼板(SPCC)の価格推移を利用しました。産業新聞のコチラのリンクに1974年以降の1トン当たりの価格が紹介されています。品物の種類によって材料を変えたり、複数組み合わせたりする必要があります。

2、労務費(当社の場合は愛知県の最低賃金の推移)

 代表的な指標として、最低賃金の推移を使用しました。当社は愛知県にあるため、厚生労働省 愛知労働局のコチラのリンクにて、1973年からの地域別最低賃金の推移が紹介されています。そのため、自社の地域別の最低賃金を調べて、活用することができるのではないでしょうか。こちらは、社員の給与帯によっては、最低賃金は参考にならない場合もあると思いますが、パートさんが多数在籍していたり、小さな町工場のように給与が最低賃金に近い社員が多い会社にとっては、参考にできる指標になります。

3、間接費(当社の場合は愛知県の最低賃金の推移)

 代表的な指標として、消費者物価指数を使用しました。消費者物価指数は、総務省の統計局が発表しているもので、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を表した指数です。1970年から発表されており、コチラのリンクで紹介されています。

 

終わりに

先日、はじめて取引先の方から、適正価格での取引のために、必要な価格交渉の申し出をするようにとの案内が来ました。

下請け町工場というと、大手企業から早く、品質の良いものを、安く納品することを強要されているイメージでしたが、最近はSNSの発達や企業イメージを大切にしているのか、厳しい姿勢は多少緩和されてきている気がします。

小さい会社ですが、大手とも対等な立場でしっかり交渉して、適正価格を勝ち取って、社内に還元したいです。